2020年03月09日

文字とギャップ萌えで

2つ
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 びっしりと墨で書かれた角張った文字がハガキを埋めている。
 筆ペンかと尋ねたら、墨をすっているのだという。
 習字の塾にでも通っていたのかと問えば、授業で習った程度のもので墨をするという行為を何かで見てから面白がって始めたのだそうだ。
 そんな文字からは想像できないほど、文面は他愛のない日常の報告で、電波も届かない田舎での退屈を癒やしてくれる。
 親戚の集まりにも行かなくなった年の離れた親戚が心底感心したことに、ずいぶん気をよくしたものらしい。これで10代だというのだから恐れ入る。
 この楽しみを日常に置き忘れる日が来ないことを祈りつつ、ハガキが来なければ顔を出しもしない郵便屋のところまで、拙い線がのたうったハガキを片手に今日も出かけていく。

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 丸みのある、可愛いらしいと感じる文字だ。
 聞けば報告書もこの文字で書くという。
 今ではパート勤務の女子職員にパソコンの文書に清書してもらうそうだが、電子化の進む中、この書類が消えていくのは何やら文化の損失のような気さえする。
 正直に伝えたところ
「定年間近のジジイの書くもんじゃありませんよ」
長いコンプレックスの染み込んだ顔で苦笑された。

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posted by まきむらひろき at 21:32| ネタ・雑